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仕事納め。

弁護士の西ヶ谷です。

まだやり残したこともありますが,今年の仕事は今日で終わり。

弁護士12年目になる今年も,多くの皆様からご相談・ご依頼をいただき,私自身もさらに多くの経験を積み重ねることが出来ました。

ご依頼いただいた皆様の悩みや不安,憤りを解消し,人生を再スタートしてもらうのが私たち弁護士の存在意義だと私は考えています。

ご依頼いただいた方々の心の負担が少しでも軽くなり,再スタートの切っ掛けの一つにしていただけたのであれば幸いです。

私自身,割と真剣に今年を振り返ってみると,否定肯定織り交ぜ様々な感情が渦巻きます。

素晴らしい思いもたくさんしましたが,それと同じくらい否定的な感情が湧き出る思いもしました。

でも,それらの感情全てが,自分自身の経験値を上げたり,心の成長へとつながっていくはず。

ですから,否定的な感情も含めて全てを受け入れて,前に向かっていこうと思っています。

「明るい失敗」(原和良著)という本を最近読みました。

弁護士の先輩が出した本で,よりよく生きるためのヒントがたくさん散りばめられている素晴らしい本だと思いました。

私も著者のように,自分の依頼者を励ましたり,背中をそっと後押しすることができる弁護士になれたら,と改めて思いました。

来年も今年以上に精進して,市民第一主義の名に恥じない弁護士,法律事務所でありたいと思っています。

弁護士 西ヶ谷 知成

ジンバブエの政変と日本の政治。

弁護士の西ヶ谷です。

今、アフリカ、ジンバブエのムガベ大統領に対する弾劾手続きが進められていることが新聞等で報じられています。
今朝のワイドショーによると、大統領の独裁のみならず大統領夫人が国家財産を私物化してきたこともクーデターの引き金の一つになったとのこと。

ジンバブエと言えばアフリカ最後の植民地。「1980年、独立」と大学受験の世界史で暗記したことをかすかに覚えています。

今回の政変は独立後のムガベ大統領による国政の私物化に国民の怒りが表面した結果であり、政治を国民の手に取り戻すいい機会だとは思いますが、平和裏に進むことだけは強く望みます。


さて、このニュース。
遠いアフリカの出来事ですが、今の日本政治にも通じるものがあるのではないかと思います。

つまり、「国政の私物化」=「権力の濫用」が、今の日本の政治にも、明らかにあります。

先日の解散・総選挙は、安倍首相が「モリカケ」問題の責任追及から免れるために、問題の追及が予定されていた臨時国会の冒頭で解散を宣言し、選挙に突入しました。
こんな大義のない解散総選挙は、過去に例がありません。

まさに私たちは、安倍首相による「国政の私物化」=「権力の濫用」を目の当たりにしました。

それだけに、権力の濫用を追認するかのような選挙結果には、私は正直、ひどく落胆しました。

それみたことか、選挙直後の臨時国会では、質問時間を与党有利に改変させられてしまいましたよね。

安倍政権が、小学生でも習う民主主義の基本である「少数派との議論」をないがしろにして自身への批判をかわし、権力にしがみつこうとしていることは明白です。

まさに、権力への歯止めが利かなくなってきているという危機、つまり立憲主義の危機が訪れているのが、今の日本。

政治を国民の手に取り戻そうとしているジンバブエの姿勢に私たちが学ぶべきものは、少なくないと思います。

夏の思い出。

弁護士の西ヶ谷です。

暑い夏がようやく終わりましたね。
今夏は、自分にとって特別な夏でした。
東京地裁で行われているリニア鉄道差止訴訟に参加する機会を頂いたことが、特別な夏を過ごすこととなった理由です。
静岡県の弁護士の代表(自称・・・)として、9月初旬までにリニア工事による静岡での被害実態の書面を作成し、そのうえで裁判期日当日(9月8日)に意見陳述を行うのが、アタクシの仕事。
東京、神奈川、山梨、長野、愛知の環境問題に精通する気鋭弁護士が弁護団に連なり、高度な議論が飛び交うこともしばしばあるなかで中心的役割を担うことはなかなかのプレッシャーとなりましたが、ひと夏を通じて準備に没頭し、何とか役割を果たすことができました。

その中身のお話。
いま工事が進められつつあるリニア鉄道計画の最大の問題は、環境破壊。
過去に例のない大規模な工事となるため、環境への影響は計り知れないものがあります。
静岡県内で行われる工事自体は、静岡北部の山間部に約11キロのトンネルを掘るという内容。
東京と名古屋とを結ぶリニア計画全体から見れば、ほんの僅か工事にすぎません。
しかし、この工事に伴い様々な環境破壊が発生する恐れがあります。

その中でも重大な環境問題の一つとして懸念されていることは、大井川の水量が減ってしまう、ということ。
工事業者であるJR東海の試算ですら、毎秒2トンの水が大井川から減ってしまう可能性があることが、既に表明されています。
毎秒2トンは大変な量であり、しかも毎秒2トンも事業者の試算ですので、それ以上の減水がないないという保証はありません。

ただでさえ近時、水不足で取水制限が行われている大井川の水が更に減ってしまうと、大井川の水を利用している約63万人の大井川流域の市民の生活に影響が生じてしまいます。
そんなとんでもない工事が今進められようとしていることを、多くの静岡県民に知ってほしいと思います。

JR東海は減水対策として導水路トンネルを掘って本流に水を戻すことを計画していますが、それでも全量は戻りませんし、トンネル区間は水が戻らないため、川が枯渇する恐れもあります。
しかも、導水路トンネルを掘ることによって地下水脈が変わり、支流の沢枯れが生じる恐れがあります。
環境への影響を十分に調査し影響が小さいということであれば止むを得ないとも思いますが、今回のリニア鉄道を国が認可した際には、この点についての十分な調査は行われませんでした。

一度失われた環境は、元には戻りません。
工事が始まった後に、「思ったよりも影響が大きかったね。大井川の水、だいぶ減っちゃったね。」などということは絶対に許されないことです。

都市と都市とをより迅速に結ぶという、人間中心主義に基づくわずかな利便性と引き換えに、多くのものを失う危険性のある、リニア新幹線計画。
しかも、まともな調査も行われずに進められようとしてしまっているのです。
ですから、私は静岡県民として、この工事を容易に認めるわけにはいかないのです。

このひと夏は、このリニア訴訟の準備に尽力しました。
今夏、大井川支流で巨大イワナの群れを目撃したことと同じくらい、自分にとって忘れられない良き思い出になると思います。

弁護士 西ヶ谷 知成

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本当に怖い共謀罪。「週刊女性」が共謀罪を特集。

弁護士の西ヶ谷です。
生まれて初めて週刊誌「週刊女性」を購入しました。

国会で審議されはじめた共謀罪を10頁にわたり特集。とても充実した内容で、意識の高さを感じました。

共謀罪の最大の怖さは、犯罪の範囲が大幅に拡大され、一般人が容易に犯罪者にされてしまう恐れがあること。
話し合っただけで犯罪が成立してしまう「共謀罪」を、277もの犯罪に設定。
しかも、目くばせでも犯罪が成立してしまうという「手軽さ」。
それに伴い、捜査対象が大幅に拡大。
電話やメールも捜査対象となり、国家が国民の行動を監視する社会へ。
国民には萎縮効果が生じ、政治に対して安易に批判することもできないような社会に変貌することとなります。

安倍首相は、「一般人が対象になることはあり得ない」などと言っていますが、かの治安維持法も、議会で審議された際には「無辜(無実)の民にまで及ぼすことのないよう十分研究した」と法務大臣が述べていたとのこと(「週刊女性」より)。
その後、治安維持法が猛威を振るい、戦争に反対する良心的人々を次々と逮捕して拷問し、戦争に反対する声を封じて太平洋戦争へと突き進んでいったことは周知の事実です。
今回も治安維持法と同様、共謀罪成立によってさらに戦争しやすい国家に変貌していくことになることが、強く懸念されます。

政府は、テロ対策のために必要と言っていますが、テロは共謀せずに一人でもできるので共謀罪が成立したからといって防げるものではなく、しかも対象となっている277の犯罪のうち6割はテロに関係のないもの。
政府の狙いがテロ対策以外にあることは明白です。

国民の平穏な生活を脅かす共謀罪。
テロも怖いですが、共謀罪も本当に怖い。
絶対に成立させてはならない法律です。

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仕事納め。

弁護士の西ヶ谷です。

今年の後半は特に多忙を極め、結局のところ、今日12月31日が仕事納めとなってしまいました。
でもブログを更新しないのでは仕事を終えた気がしないので、一年を締めくくるブログを書こうと思います。

今年はブログの更新回数がこれまでになく少なくなってしまいました。
忙しかったということもあるのですが、それ以上に、「書く気がしない」というのが理由です。

当ブログは社会問題について取り上げることが多いのですが、今年はあまりに悪いニュースが多く、それらを取り上げる気力も沸きませんでした。

今の政治は、歴史を顧みず、国民の権利や自由を制限することばかり。
福島の教訓を無視して原発利権にしがみつき、秘密保護法で不都合な事実を隠し、安保法制実施で憲法9条を骨抜きに。その他、悪法がぞろぞろと世に出されました。

しかし、テレビはまともに政治を批判せず、その結果、多くの国民は今の政治が国民のためになっていないことに対する問題意識を抱かない。
正直言って、この国に対する絶望感を抱かざるを得ません。

しかし、一方で、日々の弁護士業務の中で「世の中捨てたもんじゃないな!」と感じることが時々あります。
依頼者が絶望から這いがり、前を向いて歩こうとする姿を目の当たりにしたときや、依頼者の善意に触れたときに、勇気や感動をもらうことが一年に何度かあるのです。
そんなとき、「人間て強いな!」、「人間ていいな!」などと思ったりなどするのです(なんか書いてて照れますが…。)

世の中に絶望してばかりではいられません。
そんな依頼者からもらう勇気や感動を糧に、来年は心機一転、希望をもって前に進んでいきたいと思います。