今日たまたま目にした日経のコラムに,考えさせられる
記事が載っていたので紹介する。
フランスの法務大臣は仏領ギアナ生まれの黒人女性。
彼女が10月下旬にフランスの地方都市を訪れたときに,事件は起きた。
集まった子供たちが,「お猿さん,バナナを食べろ!」などと
大声でからかったというのである。
大臣は事件の後,こう話したという。
「罵られるのは初めてではないが,一番驚いたのは,
フランス社会が壊れていくことに対するまっとうな警告が
聞こえなかったことだ」と。
子供が見たまま,感じたままを表現してしまうのは仕方がないこと。
それを止めない大人に責任がある。
子供の差別発言を止めないということは,
子供の口を借りて大人が喋っているようなもの。
大人の人種差別容認の発想が子供に投影されているといえる。
この記事を読んで頭をよぎったのは,日本での似たような光景。
いや,フランスの出来事どころではない過激な光景。
それは,中学生が,在日朝鮮人を大虐殺するぞ,とマイクで
叫んでいる(=大人がやらせている)恐ろしいシーンだ。
日本社会が壊れていく切っ掛けとなり得るヘイトスピーチ。
フランスでは聞こえてこないまっとうな警告が,
日本では聞こえてきているだろうか。
弁護士 西ヶ谷 知成