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世界は敏感に反応する。

昨年末,安倍首相が靖国神社を参拝したことに対して,
アメリカや東アジア諸国から即座に強い非難の声が挙がったことは,未だ記憶に新しい。

そして,つい先日,NHK経営委員で小説家の百田尚樹氏が
東京都知事選の立候補者であった田母神氏の応援演説に立ち,持論を展開
したことについても国際社会で大きな波紋が広がった。

百田氏は,米軍による東京大空襲や原爆投下を「大虐殺だった」
とした上で「東京裁判はそれをごまかすための裁判だった」と主張。
また,南京大虐殺については「1938年に蒋介石がやたらと宣伝
したが、世界の国は無視した。なぜか。そんなことはなかったからだ」
などと発言した。

これに対し,米国務省の報道官は、東京裁判について「不合理な示唆だ。
日本の責任ある立場の人々は地域の緊張を高めるようなコメントを避けることを望む」と反論。

また,南京大虐殺について中国外務省は「南京大虐殺は日本軍が中国を
侵略していた時に起きた残忍な犯罪で,反論できない証拠がある。
国際社会では既に結論が出ている」と反発。「一握りの日本人はこの事実を覆い隠し歴史を歪めようとしている」と批判した。
その上で「こうした行為は,歴史を逆戻りさせようとする
日本の一部指導者の姿勢と同じもので,国際社会はこのことを警戒すべきだ」と発表した。

日本国内の選挙での応援演説が国際社会で問題になることなど,
これまで聞いたことがない。

これは,国際社会が今の日本の右傾化に強い危惧感を抱いているということの,何よりの証しである。

もし,このような動きとは正反対に,憲法9条の精神にのっとり軍事力に
依らない平和を希求することを,日本が国際社会に向けて
高らかに宣言したら,国際社会が敏感に反応し,絶大な賞賛の声が
挙がることは間違いない。

そして,そのような国に対して軍事行動を起こす国は国際社会を
敵に回すことになるので,他国が日本の平和を脅かす行動を安易に行うことは出来なくなる。

日本が国際社会で名誉ある地位を占め,かつ日本の平和を構築するための
方法としては,憲法9条の精神を実現すること,これが一番である。

弁護士 西ヶ谷 知成