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政府に都合よく教科書の内容が変えられた!

弁護士の西ヶ谷です。

今日の朝刊一面の教科書検定に関する記事。
集団的自衛権容認に関する高校教科書の記載に対して文科省が検定意見を付し、内容が改訂されたとのこと。
このことについて黙っていられないのでブログに書こうと思う。

清水書院の教科書が、政府が集団的自衛権を容認したことについて「憲法九条の実質的な改変」との見出しを付けた。それに対して検定意見が付き、変更を余儀なくされたとのこと。
また、同じ教科書で、「積極的平和主義」を「アジアをはじめとする広範な地域で自衛隊の活動を認めようという考え方」と記載していたところ、検定意見が付され「国際社会の平和と安定および繁栄の確保に積極的に寄与していこうとするもの」との変更を余儀なくされたという。
文科省の検定意見は、いずれも「生徒に誤解が生じる」とのこと。

しかし、元々の記載でどのように生徒に誤解が生じるというのだろうか。
元々の記載はまさに実態に即した正しい内容。
むしろ、変更後の記載の方が、安倍政権の「積極的平和主義」が異論なく正しいものだとの誤解を生じさせるものである。
積極的平和主義は、自衛隊をこれまでよりも広い範囲で海外に派遣しこれまでよりも広範な任務に付かせることを具体的内容とするが、これによって逆に紛争を誘発・拡大させる可能性もあり、必ずしも平和に繋がるものではない。
このような問題をはらむ「積極的平和主義」を説明するのに、変更後の記載のように肯定面のみクローズアップするのでは正確性を欠き、むしろ誤解が生じる。

さらに問題なのは、「積極的平和」という概念そのものの変遷だ。
もともと「積極的平和」という概念は、「格差や貧困が改善された状態」を意味するものと中学校の社会科教科書には書いてある(「公民」東京書籍)。
それを安倍政権が敢えて取り違えた形で使用し続けたことによって、言葉の意味そのものが変わってしまったのだ。
積極的平和主義を教科書で扱うのであれば、その概念の変遷についても取り上げねば不十分である。
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私たちは、今、政府の意向で教育内容が歪められる歴史的局面に立ち会っている。
「民主主義は多数決だけで決まるものではない」と書いてある教科書が、歪んだ多数決で権力を得た者たちの横暴で変えられる、そんな冗談みたいな話に、今、現実に直面しているのである。
このとてつもなく重大な問題を、ひとりでも多くの人たちと共有したいと思う。