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ボクらの目を塞ぐ「旅券返還命令」

戦場ジャーナリストに対して旅券返還命令を下した政府の判断に、危惧感を抱かざるを得ない。

戦場ジャーナリストは、いわば我々の「メガネ」だ。

彼ら、彼女らは、危険で一般人が行けない地域に危険を冒してまで赴き、日常生活の中で視野狭窄に陥りがちな我々に、世界の真実の一面を教えてくれる。

それによって、我々は知らなかった世界を知り、より広く豊かな世界観をつくることが可能になる。

戦場ジャーナリストは、いわば我々が日常的に陥っている「近視」を矯正し、より豊かな社会をつくるために、不可欠な存在なのである。

そのような戦場ジャーナリストの活動を奪う、今回の旅券返還命令。

しかも、多くの国民が、「やむを得ないな」「当然だな」と感じられるタイミングで行うという、安倍政権特有の姑息な手法で。

これによって、戦場の悲劇や理不尽が我々の目からさらに遠ざかり、その結果、さらに安倍政権は戦争がしやすくなった。

昨年末に施行された秘密保護法は、戦争の現場を知る公務員(自衛官)の口を、重罰の脅しで塞ぐ。

そして、今回の旅券返還命令は、戦場ジャーナリストの手足を縛る。

これらによって、我々国民の目や耳は塞がれる。

安倍政権は、やはり、戦争しやすい国づくりに向かってまっしぐらなのである。

弁護士 西ヶ谷 知成