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67回目の終戦記念日と私。

今年6月から7月にかけて、中日新聞は、太平洋戦争におけるビルマ、インド戦線での出来事について書かれた「果てなき白骨街道-インパール作戦 敗走の記録」と題する記事を連載した。

毎回毎回、その内容の凄まじさに絶句し、また、あまりの悲しさに泣きながら貪り読んだ。

「俺は捨てられるのか」と涙を流す戦友を見殺しにしてきたことについて,未だに苦しんでいる方の話。
人肉を食べ、人の血をすすって生き延びてきた方の話。
遺骨を運ぶのは無理だったからと、小指の遺骨だけが届けられたご遺族の話。

誇張することなく真実のみを伝えようとする新聞社の姿勢もまた、記事から伝わってきた。

政治が暴走すると国民はここまで追いつめられ、時として人間性をも奪われるのか、と背筋が凍る思いをしたが、しかし、その政治をつくったのも当時の国民。

戦争に反対すれば非国民のレッテルを貼られて村八分にされるので,心の中では戦争に反対する人も、それを言葉に出せなかった,とても悲しく息苦しい時代。

日本人自らがつくったその時代の空気が、多くの悲劇をうんだ。

二度と時代を逆行させてはいけない。
真に言いたいことが言える社会、おかしいことはおかしいと言える社会を作る。
そしてそのような社会を次世代に引き継ぐ。

それが現代社会に生きる我々の使命の一つである。

1945年8月15日に太平洋戦争が終わってから、今日で丸67年。
戦争に行かれた方々はすでに90歳前後。もう生の声を聞く機会は限られている。
戦争体験者を通して戦争の真実に迫ることが出来る時間も、あと数年である。

そのことを意識しながら、ここ何年かを生きていきたいと思う。

(なお、中日新聞の特集記事は、単行本「祖父たちの告白 太平洋戦争70年目の真実」として出版されています。)

西ヶ谷 知成