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W杯と集団的自衛権

もうすぐブラジルW杯の開幕ですね。

サッカー王国ブラジルでの開催ということで,さぞや開催国ブラジルは盛り上がるだろうと思いきや,反対のデモやストライキが起こっているとのこと。

数年前までは経済新興国ブリックス(BRICS)の一角としてもてはやされたブラジルですが,リーマンショック以降,海外投資家が去り,経済が下降の一途を辿ったことによって多くの国民が貧困にあえいでいるということです。

海外投資家に頼るアベノミクスも,まったく人ごとではありませんね。

さて,このブラジルと全く正反対のことが起こりそうなのが,我が日本。

ブラジルW杯の国民的盛り上がりのドサクサに紛れて,安倍政権は集団的自衛権行使容認の閣議決定を行おうとしています。

安倍氏はつい先日までは期限を決めずに議論すると言っていたはずなのに,今国会会期中に閣議決定をするということに転換しました。

ちなみに今国会会期末は6月22日。

6月20日がギリシャ戦(第2戦)ですから,まさに日本が予選突破できるかどうかで大騒ぎになっている頃です。

国民の関心を逸らすには,またとない絶好の機会ですよね,安倍さん。

集団的自衛権行使容認の閣議決定は,日本の政治にとって歴史的な出来事です。

私たちの明日の食卓には全く関係しませんが,国民を戦場に送り出すことを許すことに繋がる大問題。

そして,それを9条改憲によらず閣議決定だけでやろうとすることは,国家権力を縛る憲法を国家権力自らがその縛りを解いてしまうというということを意味します。

これは近代立憲主義を否定する暴挙であり,先進国として考えられない事態です。

安倍政権はそれをW杯のどさくさに紛れて通してしまおうとしている訳ですから,国民をバカにするにも程があると思いませんか?

明後日の正午から,静岡県弁護士会は静岡駅北口地下広場で集団的自衛権に反対する街頭宣伝を行います。

宣伝をしたからといって何が変わるわけでもありませんが,今,法律家として出来ることを頑張るしかない、そう思っています。

弁護士 西ヶ谷 知成