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5月3日は憲法記念日。

小6の娘が自衛隊について調べるようにとの宿題を学校から出されたことをきっかけに、家族で自衛隊や憲法9条について話しました。

娘は、自衛隊は災害のときに国民を守ってくれる存在だから大切と。

この点は私も全く異論なし。自衛隊の皆様のご尽力に対し、感謝の念を日々抱いています。

ただ、それ以上の役割を自衛隊に担わせることについてどのように考えるのかが、実は今の9条改憲論議の本題。

今の改憲論議においては、自衛隊が国民を守るための存在であることを超えて、アメリカと一緒に戦争をするような存在になっていいのか、という点が問われています。

今の自衛隊が国民を災害から守ってくれるだけの存在であれば、憲法に書き加えられてもそれほど問題がないのかも知れません。
しかし、今や自衛隊はそのような存在を大きく超えて、世界でなんと6位の軍事力を誇る実力部隊に。

https://www.msn.com/ja-jp/news/photos/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%8C%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%82%A2%E3%83%83%E3%83%97%E3%80%81%E3%80%8C%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E5%9B%BD%E5%88%A5%E8%BB%8D%E4%BA%8B%E5%8A%9B%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%80%8D2019%E5%B9%B4%E7%89%88%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%9750/ss-BBVyE89

近隣諸国に対する侵略戦争の反省から戦争放棄を宣言した先鋭的な憲法を有しているにもかかわらず、今や自衛隊は近隣諸国に軍事的な緊張感を覚えさせるほどの実力部隊に事実上なってしまっています。
これは、自衛隊が戦争放棄を掲げた憲法9条に反する存在へと既成事実が積み重ねられてきてしまったことによるもの。

10メートル先にあったバス停を少しずつ動かして、いつの間にか自宅前にバス停を持ってきてしまうようなことを、これまで政権与党は行ってきました。

そしてそのような実力部隊と化した自衛隊を現実に戦場へと送り込もうとするのが、安倍政権を中心とする今の改憲論者の狙い。
事実、近時の自衛隊は、国民の命を守ることとは直接関係のない、中東での活動を担わされています。
https://www.asahi.com/articles/DA3S14310658.html

つまり、今の改憲論議は、国民を災害から守ってくれる自衛隊員を、危険な戦地に赴かせようとする議論。ですから私たちは、改憲派が強く主張する「自然災害から国民を助けてくれる自衛隊だから、その存在を憲法に書き込むべき」という短絡的な改憲派の論理に騙されてはいけません。

そもそも武力で平和を作ることは出来ず、粘り強い対話や信頼関係の構築が必要不可欠です。そのような方向性とは真逆をいっている今の改憲論議。
このような内容で改憲が実現されてしまえば、日本が国際社会の信頼を損なうばかりか、テロの標的にもなることにもつながります。
私は、平和な日本を次世代に引き継ぐため、また世界の最先端を行く日本国憲法9条を守るため、9条改憲に反対します。

また、今のコロナ禍の現状において、日本政府は軍事力を大幅に削り、日々困窮している多くの方々の生活を守るための資金へと回すことを強く求めます。

お隣の韓国では、実際に軍事費を削ってコロナ支援に回す政策がとられているようですね。

https://news.yahoo.co.jp/byline/seodaegyo/20200409-00172357/

その気になれば日本でも実現できることではないでしょうか。
しかし日本では、残念ながらこのような議論は全くなされていません。
それどころか、コロナ禍をきっかけに緊急事態条項が憲法に必要ではないかなどということを安倍政権が言い出しましたね・・・。コロナ禍を拡大させておいてそれを憲法のせいにするのはお門違いも甚だしいと、呆れながら聞いています。
お友だちを優遇したり国民の権利を制限することばかりに執心するのではなく、国民目線での真摯な政治を行ってもらいたいものです。

弁護士 西ヶ谷 知成