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軍事力に依らない平和を目指す世界の動きと,日本。

今日の夕刊(朝日)には,世界の平和にとって,
とても重要な記事が二つ並んだ。

一つは,アメリカ大統領とイラン大統領が直接電話にて
対話をしたという記事。

両国は,1979年の国交断絶以来,直接の対話がなかった。
そればかりか,近時はイランの核開発問題が深刻化し,
アメリカがイランを攻撃するのではないか,という危惧さえあった。

そのような両国間において,両首脳が直接対話をし,
核問題の早期解決を目指すことを確認し合ったことは,
軍事力を用いない平和構築にとって,とても重要な意味を持つものである。

もう一つの記事は,シリアに化学兵器を廃棄させる国連安保理
決議が採択されたという記事。

一時はアメリカがイギリスと多国籍軍を編成して,アサド政権を倒す
軍事行動に出る危険性が高まったが,アメリカやイギリスの国内世論が
反発し多国籍軍による攻撃は回避された。

その軍事攻撃の代わりとなったのが,今回の国連安保理決議。

軍事力を用いずにシリアに圧力をかけていく手法は,
泥沼化し60万人を超える犠牲者を出した(しかもその大半は武器を
持たない一般市民である)イラク戦争の轍を踏んではならないという,
アメリカ国民やイギリス国民の常識的判断が導いたものとも言える。

他方,日本の安倍首相は,日本を集団的自衛権を行使できる国にしよう,
つまり,アメリカと一緒に軍事行動を行える国にしようと,頑張ってしまっている。

イラクに多国籍軍を送ったアメリカ国民やイギリス国民の多数が,
軍事力を用いて「積極的平和」をつくる手法が間違って
いるということに気づき,軍事力を用いないで紛争を解決しようとする
機運が世界中で高まっている今,その流れを全く無視して,
集団的自衛権を行使してアメリカとともに軍事行動を行う国を目指している安倍首相。

安倍首相の集団的自衛権行使に向けた宣言は,
軍事力を用いないで平和を作っていく努力をし始めた今の世界の
動きに水を差すものであることは,間違いない。

日本は,平和憲法という「宝物」を持っているにもかかわらず,
軍事力に頼らずに平和を目指す今の世界の潮流に,逆行してしまっている。

今一度,ボク達が進むべき未来を,しっかりと確認していきたいと思う。

弁護士 西ヶ谷 知成