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特別な夏。

毎年8月は,太平洋戦争を振り返る時期。

6日の広島,9日の長崎,そして終戦の15日。

毎年恒例ではあるが,しかし,今年は特別な気持ちで8月を過ごしている方も少なくないと思う。

昨年12月の秘密保護法強行採決,武器輸出の解禁,そして7月1日の集団的自衛権行使容認の閣議決定。

安倍政権は,平和国家の理想を捨て,戦争国家化に向けて,ひた走る。

そのような時代の流れに対して,この夏,異例ともいえる懸念の声が出された。

9日の長崎での慰霊祭では,長崎市長が,戦争に向かいつつある現状に対し懸念を表明。

そして,遺族代表者もまた,安倍首相の面前で,集団的自衛権によって戦争が生じる可能性に対して危機感を表明した。

報道によると,遺族代表者は,当初用意していた原稿を直前に差し替えて,あえて安倍政権に対する懸念を表明したとのことである。

そのような懸念も無理はない。一連の流れをみれば,戦争をしやすくする国づくりにまっしぐらな現状である。

このような情勢に対し,我々は今一度,69年前の出来事に思いを馳せなければならない。

69年前に終わった太平洋戦争。

人命よりも国家威信が第一と,人の命をトコトン軽視した時代。

やみくもに兵士を戦地に送り,その一方で食料の搬送をしなかったために,戦死者のうち6割が餓死した。

無計画かつ無謀な戦略により,多くの若い命が散った時代。

国家の威信の大儀を前にすれば国民の命など紙切れ一枚の価値しかなかった。

そのような時代の犠牲となった戦争体験者やご遺族の話を聴くと,自然と涙がこぼれる。

私たちは,69年前の悲劇を繰り返してはならない。

そのために,太平洋戦争に対する反省のもと制定された平和憲法を子供たちに引き継がねばならないと,心底思う。

そのためにどんなことができるだろうか。法律家として,一市民として,子を持つ親として,自分はどう生きるべきなのか。

そんなことを漠然と考えながら,2014年の8月を過ごしている今日この頃である。

弁護士 西ヶ谷 知成