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日本人がつくった憲法9条。

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弁護士の西ヶ谷です。

「憲法は誰がつくったか。」
改憲の議論のなかで、よく出てくる話です。

改憲論者からは「今の憲法はアメリカからの押し付けだから、日本人の手で憲法をつくるべきだ。」という主張がなされます。
憲法9条についても同様に、改憲論者は、戦争放棄の条文化を発案したのはマッカーサーだという見解を有しています。

しかし、これは史実に反するということが近時、明らかになってきています。
今日の新聞では、憲法制定当時の首相であった幣原首相が、マッカーサーに対して戦争放棄を提案したことを裏付ける書簡が発見されたことが、報じられていました。

国際協調・軍縮路線で知られる幣原首相ですから、太平洋戦争によって主要都市が軒並み焼け野原となり、また原爆をも投下されおびただしい数の戦死者が出た現実を前に、国民を二度と戦争の惨禍にさらしてはならない、非戦による平和こそが世界の目指すべき道だ、との思いから、戦争放棄を憲法に入れることを提案したに違いありません。
すなわち、多くの日本人の犠牲が、幣原首相のマッカーサーに対する上記提案を生んだといえます。

両院で3分の2以上を改憲勢力が占めたことから、今後、改憲の議論が盛んになってくるものと思われます。
しかし、憲法が歴史の集積であること、憲法9条が多くの戦死者の犠牲のもとに築かれた理念であることを忘れずに、一面的な主張に惑わされることなく、議論を見守りたいものです。