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所与の世界を受け入れることなかれ。-年頭所感-

「弁護士は所与の法制度をそのまま受け入れてはならない」

これは司法試験受験時代に影響を受けた,
ある弁護士(予備校講師)の言葉。

弁護士として正しく生きるためには,既存の法制度や
社会のシステムに対して,何の疑問も抱かずに
そのまま受け入れてはならない。

この言葉は,そういうことを意味している。

弁護士になった今,この言葉の重みを日々感じている。

他方,弁護士が政治に対して関与することは弁護士としての職分を
超えているという意見に,時々触れることがある。

これは,弁護士は既存の法律の枠の中で仕事をすべきだという意見である。

確かに,我々弁護士は国会議員ではないから,
直接的に立法に関わることはできないのは当然である。

しかし,真に市民の幸福を求めるのであれば,
根本的に問題がある既存の法制度を変えなければならないことも少なくない。

社会に本当の意味で役立つ弁護士になるためには,
所与の制度の枠の中で生きるのではなく,
市民の幸福を阻害する所与の制度を変えていくことに
尽力することが必要なのだと,ボクは考える。

日々の業務に忙殺されることなく,
問題のある法制度や社会制度に対して勇気を持って切り込んで
いける弁護士を,ボクは目指したいと思う。

弁護士 西ヶ谷 知成