静岡空港住民訴訟が大詰めを迎えています。
「静岡空港の訴訟?」
「まだやってるの?」
「もうできちゃってるからしょうがないじゃん!」
そんな声が聞こえてきそうな気がします。
確かに,もう運用しているのだから,低迷している需要を
今後いかに高めるかが大切だ,という考え方も正しいと思います。
ですが,静岡空港は,当初から赤字が見込まれる中で,
極めていい加減な需要予測に基づいて作られて空港です。
今需要が低迷しているのではなく,実は計画当初から,
県が見積もった需要予測には到底及ばないことは明らかでした。
東に東京国際空港(羽田),西に中部国際空港,新幹線での移動には
不自由を来さない。
このよう環境下にある静岡空港は,当初から黒字が
見込めない空港だったのです。
このような赤字覚悟で空港を作ることに踏み切ったことに対する責任を
追及するのが,静岡空港住民訴訟の役割だと考えています。
毎年赤字を積み重ねていくような空港を作るなどということは,
次世代に大きな負担を強いることになり,あってはならないことです。
このようなことを許していたのであれば,今後,空港と同じように
無駄な公共事業への投資が繰り返されてしまうことは,間違いありません。
しかも,静岡空港建設に際しては,いい加減な測量によって敷地内に
立木が残ってしまい,飛行機が飛べずに暫定開港を余儀なく
されたことは皆さんの記憶にも残っていることと思います。
なのに、暫定開港するために余分にかかってしまった出費(税金)
については,今もって誰も責任を取っていません。
民間であれば大問題であることが間違いないのに,
県は知らぬ存ぜぬを決め込んでいます。
私たち弁護団は,静岡県が二度とこのような無駄な公共事業への
投資を繰り返さないよう,しっかりと責任追及をするため,訴訟を行っています。
この裁判は,静岡空港に限らず,今後の公共事業に対する静岡県の
姿勢を問う重大な裁判です。
7月5日午後1時半から,静岡県職員の証人尋問が行われます。
是非,法廷にお越しいただき,訴訟を見守って頂ければと思います。
弁護士 西ヶ谷 知成