弁護士の西ヶ谷です。
社会学者上野千鶴子氏の東大入学式での祝辞が印象的だったので,一部を紹介します。
『あなたたちは頑張れば報われる,と思ってここまで来たはずです。
ですが,頑張ってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています。
そして頑張ったら報われるとあなた方が思えることそのものが,あなた方の努力の成果ではなく,環境のおかげだったことを忘れないようにしてください。
あなたたちが今日「頑張ったら報われる」と思えるのは,これまであなたたちの周囲の環境が,あなたたちを励まし,背を押し,手をもって引き上げ,やり遂げてくれたことを評価してほめてくれたからこそです。
世の中には,頑張っても報われないひと,頑張ろうにも頑張れないひと,頑張りすぎて心と体をこわしたひと…たちがいます。頑張る前から,「しょせんおまえなんか」「しょせん私なんて」と頑張る意欲をくじかれるひとたちもいます。
あなたたちの頑張りを,どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。
恵まれた環境と恵まれた能力とを,恵まれない人々をおとしめるためにではなく,そういう人々を助けるために使ってください。』
一部の人たちの利益のためだけの不公正な政治が続く昨今。
上野さんの祝辞に触れ,公正な社会の実現のため,また頑張る人が報われる社会の実現のために,私自身の恵まれた環境に感謝しつつ,微力ながら頑張ろうと改めて思いました。
また,上野氏の言葉が東大新入学生に向けられているという点も意義深いですね。
子育てのゴールは,いい大学への入学とかではなく,社会や弱い立場の人に少しでも目を向けることが出来るような人間になってもらうことだと改めて思いました。
弁護士 西ヶ谷 知成