安倍政権が行う経済政策が好評のようですが,
率直に言って違和感を覚えます。
最も違和感を覚える点は,仮に好景気になったとしても
それは一時的なものにすぎないということに対する
問題意識が欠けている,ということです。
資本主義経済には景気の波(景気循環)があることは
経済学の初歩的知識です。
景気が一時的に良くなったとしても,長期的にみれば
必ず悪くなるときが来ます。
場合によっては好景気時の過剰生産によって恐慌が
やってくることもあるということは,歴史が証明しています。
国債や消費税増税を原資とする公共事業へのばら撒きで
一時的に景気が回復したとしても,長期的にみれば結局は
無駄金になり,国民の負担だけが残る結果となることは、
歴史的にみても明らかではないでしょうか。
このような経済学の常識に一切言及せず,アベノミクスなどと
賞賛するマスコミにも違和感を覚えざるを得ません。
今日のニュースでは,セブンイレブン従業員の賃上げが消費を
上向かせ景気回復に繋がるなどと賞賛されていました。
ですが,賃上げであれば,最低賃金法における最低賃金を
引き上げることの方がより有効です。
また,生活保護をもう少しマシな水準まで引き上げることに
よっても同様の効果は生まれます。
「焼け石に水」的なばら撒きの政策ではなく,広く生活水準の
底上げを目指す市民目線の政策こそが,
多くの一般市民が安心して暮らせる健全な社会をつくることに
繋がるのだと、私は思います。
弁護士 西ヶ谷 知成